相談事をうけるあなたへ – 非アドバイスのすすめ #5 「小さな親切」という無痛の傷

一生懸命アドバイスしたのに、なんかギクシャク….。

「小さな親切、大きなお世話」ということばがありましたっけ。

相手が「かわいそう」にみえたり
「たよりなさそう」にみえて小さな親切をする。
当の本人は、「いらぬお世話」と思っていたりする。

「小さな親切」という心の痛み

「大きなお世話」になるような「小さな親切」をしてしまうとき、
私たちは、無自覚に相手の中に自分の痛みを見ていることがあります。

「放っておけない」という思いは、あなた自身の内側からうまれたもの。
「かわいそう」「たよりなさそう」に見える相手が
たとえ本当に痛みを感じていたとしても
あなたが感じているのは、相手の痛みではなくて自分自身の心の痛みです。

相手に対して「お気の毒に…」と同情するときに、ちょっと疼くのはこの自分の痛みです。

そして「小さな親切」が受け手の側に痛みを生むと、
「大きなお世話」というリアクションになります。

「アドバイスしたのに、ギクシャク」の正体。

この「小さな親切」を「アドバイス」という言葉に置き換えてみましょう。

必要ないアドバイスであれば、
明るい気持ちで「なるほど、そういう考え方もありますね」と一旦受け取って採用しなければそれでいいだけのこと。

けれどもイラっとか、ムカッとか
多少なりともネガティブな感情が伴っていたとしたら、
「アドバイス」を肯定的に受け取っていない証拠です。

たとえば…
アドバイスに対して、「私のやり方は間違っている」と受け取っていたら凹むかもしれませんね。
また「間違っている私はとってもダメ」と思っていたら、ダメな自分を認めることになるのですからアドバイス自体を受け取りたくないかもしれません。
また「お前はダメだ」と言われている気がしたり、「上から目線」を感じたらいい気持ちはしませんよね。
実際相手が「間違っている」「ダメだ」といってなくても、自分で勝手に決めつけていることもよくあります。

といっても「小さな親切」を受け取った当の本人は、
ネガティブな感情の原因は、相手の行動にあると思っているのが普通。
相手の行動に対する自分の捉え方だとは全く気づいていないでしょう。

ですから相手を変えようとしたり、相手から離れようとしたり、
「余計なお世話」「大きなお世話」「邪魔」「ありがた迷惑」….なんて
毒づいたり…というのがありがちなリアクション。
ま、あとはしぶしぶ受け取るか….

これが「アドバイスしたのに、なんかギクシャク」の正体です。

こうして、心の痛みから生まれた「小さな親切」のアドバイスが「大きなお世話」と受け取られてしまったとき、双方が心に微妙な痛みを感じることになるわけです。
せっかくのアドバイスを受け取ってもらえず、自分も相手もなんだかイヤーな気分になっている…というのはこういう時です。

アドバイスを受け取るかは、相手が決めればいいこと

さて、ずっと「非アドバイスの勧め」を書いてきましたが、
私がお伝えしたかったのは
アドバイスをしないこと、ではなくて
アドバイスによって生まれる「ギクシャク」がどうして生まれるか、という
心の仕組み、のことです。

「小さな親切」や「アドバイス」がいけないとは思っていません。

ただ、あなたのしたいアドバイスが
「心配」「同情」のような自分の心の痛みから生まれているかどうか、
一旦自分に立ち返ってみることをおすすめします。

もし、自分の心の痛みを相手の中にみていたら
相手が受け取らなくてもいい、という軽い気持ちで
アドバイスを提案してあげてもいいかもしれません。
その場合は、
相手が気を悪くしたら、さっさとひっこめることをお忘れなく。

そして何より大切なのは、こちらでも書きました
問題解決ではなく、相手の今ここの感情に目をむけてあげること。

というわけで本日のまとめ。

◾︎放っておけないときは、自分の心が痛んでいる。
◾︎アドバイスに腹が立つのは、自己否定感が刺激されているから
◾︎どうしてもアドバイスしたいときは、相手が受け取らなくてもいいという気持ちで。

今日も読んでくださってありがとうございます。
自分にやさしくお過ごしください。。


「相談事をうけるあなたへ – 非アドバイスのすすめ」はここまでです。
お読みいただきどうもありがとうございました。

目次をこちらにおいておきますね。

第1回 相手の相談を鵜呑みにしてませんか?
第2回 横並びになろう
第3回 解決しようとしないこと
第4回 それでもアドバイスしたくなるのはなぜ?




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